近所に住み、保育園から一緒だった同級生の北島くん。

ほぼ毎日一緒に遊び、小学校では同じ運動部に入り、同じ環境で育った。

小学校6年生の時、私がキャプテン、彼が副キャプテンとなり、地区大会を優勝した。


そして、中学1年生になり、あの体育祭があった。

各クラス代表2名、合計12名で行われた中距離走。

私は2組代表(赤組)。北島くんは6組代表(靑組)に選ばれた。

序盤：スタートダッシュを決め、1位の私。出遅れ最下位の北島くん。

実況「赤組の〇〇くん(私)早いです！他の組も頑張って下さい！」

中盤：失速し、5位の私。追い上げ6位の北島くん。

実況「青組が追い上げてきました！他の組も頑張って下さい！」

終盤：さらに失速し、最下位まで順位を落とす私。さらに追い上げ1位の北島くん。

実況「青組の北島くん、早いです！赤組も頑張って下さい！」

そして、そのまま北島くんは1位でゴール。

実況「青組の北島くん1位でゴールです！続いて黄色組の△△くん、□□くんもゴールです！」

私はさらに失速し、ダントツの最下位で、みんながゴールした後のグランドを一人走った。

「赤組の〇〇くん、最後まで頑張って下さい！みなさんも声援お願いします！」

という、実況がグランドに響き渡り、保護者からの温かい拍手の中、必死に走り、なんとか完走した。

その種目を実況していたのは、2歳年上で生徒会をしていた姉だった。


体育祭終了後、その日も北島くんと一緒に下校した。

北島くんは下校中、1位だった中距離走の話ではなく、負けてしまった騎馬戦の話ばかりをしていた。

北島くんのマンションに着き、また明日！と言って彼はマンションに入っていった。

私も重い足取りで家に帰ろうとすると、上から北島くんの声が聞こえた。

「お母さん、1位なったよ！」

と、元気に玄関を入っていく北島くんだった。

見上げた先は6階。

北島くんの家は、今では珍しいエレベーターが付いていないマンションの6階だった。

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