皆さんご無沙汰しております。
ここ最近、急激に冷えてきたと思いましたが、思えばもう11月です。
温度変化が急すぎて、紅葉シーズンが分かりにくいことこの上なしですが、
休みの余暇に紅葉が綺麗で風光明媚なところを散策しました。
以前晩春~初夏のブログで紹介したかもしれませんが、
呑山観音寺のその境内周辺です。
色めく紅葉程ではないですが、確かに秋の儚い美しさがそこにありました。
秋興 八首 その一
玉露凋傷楓樹林 玉露(ぎょくろ)凋傷(ちょうしょう)す楓樹(ふうじゅ)の林
巫山巫峡気蕭森 巫山(ふざん)巫峡(ふきょう)気蕭森(しょうしん)
江間波浪兼天湧 江間(こうかん)の波浪天を兼ねて沸き
塞上風雲接地陰 塞上(さいじょう)の風雲地に接して陰くもる
叢菊両開他日涙 叢菊(そうきく)両(ふたたび)開く他日の涙
孤舟一繋故園心 孤舟一(こしゅうひとへ)に繋ぐ故園の心
寒衣処処催刀尺 寒衣処処(かんいしょしょ)刀尺(とうせき)を催(もよほ)す
白帝城高急暮砧 白帝城(はくていじょう)高くして暮砧(ぼちん)急なり
玉のような露は、楓の林を凋ませ傷ませ、
巫山巫峡一帯に、秋の気がしいんと立ち込めた
長江の激浪は、天にも届かんばかりに湧き立ち、
城塞の上の風雲は、地に低く垂れこめて、あたりを暗く閉ざしている
蜀を去ってから、これで野菊の花が二度まで開くのにあうが、
その花に去年こぼした涙を、今年もまたこぼしている
また、一艘の小舟を岸辺につないだままでいるが、その小舟に望郷の心をひたすらつなぎとめている
冬着の支度のために、方々では裁縫に忙しいとみえ、
白帝城の高くそびえるあたりでは、夕暮れの砧がせわしげに音をたてている
角川ソフィア文庫 ビギナーズクラシック 中国の古典 「杜甫」 黒川洋一 編 p185~190
この漢詩は外面を通じて移り変わっていく景色と自己の孤独な内面を二重写しのように物寂しさを綴った詩です。
桐の葉もふみ分けがたくなりにけり必ず人を待つとなけれど
式子内親王
桐の落ち葉も、踏み分けて通りにくいくらい、庭一面に深く積もってしまった。
必ずしも誰かの訪れを、待っているわけではないけれど。
角川ソフィア文庫 ビギナーズクラシック 日本の古典 「新古今和歌集」 小林大輔 編 p88~89
この和歌は晩秋の寂しさと人恋しさがテーマの歌です。作者は秋の情景にほだされて、心にわだかまっていた、自分自身の孤独を見つめてしまったのです。
そう―私は無意識に、誰かの訪れを待っていたのだ・・・と。
まるで、ふと口をついて出た、ため息のような歌です。
情景は未だ晩秋まで深まってないようですが、そこはかとなく秋の寂しさを思わせるような感覚に陥りました。