冬の寒さと厳しさ鳴りを潜め、朗らかな陽気が顔を出してきた今日この頃いかがお過ごしでしょうか。
斯く言う私は寒暖差の激しさ痛感しながら、日々を忙しく生活しています。
さて、タイトルですが元々は「春宵一刻値千金」であり漢詩の一句になります。
意味は「春のよいのひとときは、千金の価値がある。」となっており春の夜はほんの僅かな時間でも千金の価値があるという謳い文句でよく用いられます。
謡曲「田村」でも春宵一刻直千金、花に清香月にかげとこの詩が引用されており、
さらに有名なのは、滝廉太郎の「花」の最後
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとうべき
という部分で歌われます。
春の陽気に映える月明りと花のコントラストを愛でた詩歌が連なり、脈拍と語り継がれてきた季節の美しさがここにあると感じます。
一方タイトルの方は、一服となっております。
これにはある逸話があり、古田織部が主催した茶会の中で、客の一人が春宵一刻をもじって、「春宵一服値千金の茶事ありがとうございました。」面白おかしくお礼を申し上げたそうです。
というわけで、私も桜を愛でた帰りに珠玉の玉露で一服値千金の夜をささやかに楽しみます。